オナ禁のやり過ぎは効果なし!?自慰行為の真相

サウナ上がりの休憩所で、男友達が急に「今、禁欲5日目」と言い出すことがあります。 すると全員がなぜか自分の日数を申告し始め、気づけば中学生の記録自慢大会です。禁欲すると魅力が増す、出しすぎると精子が弱る。どちらもよく聞く話ですが、実際はどうなのか。この記事では、禁欲とオナニーの回数について、分かっていることを整理します。この記事は医師の診断に代わるものではなく、個別の症状のご相談には応じられません。

禁欲で増える男性ホルモンは、7日目の一瞬だけ

7日目に山が来て、すぐ戻る

禁欲で男性ホルモンが増えるのは、7日目前後の短い間だけです。テストステロン(男のやる気とハリを作るホルモン)は、禁欲2〜5日目はほぼ横ばいでした。ここで、男友達に一番話したくなる数字を1つ。禁欲7日目の男性は、テストステロンが普段の約1.46倍まで上がっていました[1]。

月給20万円が、約29万円になるくらいの伸び方です。(ちなみに、この話を聞いた男は、だいたい今日が何日目かを数え始めます。)実際の山は7日目だけで、そのあと規則的な上下は見られませんでした。禁欲は積み立て貯金ではないので、長く続けても増え続けはしないと覚えておけば十分です。

「魅力が増す」は確かめられていない

「禁欲すると魅力が増す」という噂は、この7日目の山から広がったものです。しかも、1.46倍を世界に広めた英語版の報告は、のちに撤回されています[2]。これを知って、頭の中の禁欲カレンダーをそっと閉じました。禁欲と相手からの印象のつながりは、まだほとんど調べられていないので、日数を自信の材料にする必要はありません。

え、それなら7日目にデートを合わせれば完璧?いえ、そこまで日程を組んでも、上がるのは血液の中の数字だけです。私の見立てでは、相手と過ごす時間で伝わるのは、ホルモンの量より、話をちゃんと聞く余裕のほうです。

では、ため込んだ精子はどうなるのか。こちらは、ため込む派には少し耳の痛い話です。

精子は、ため込むほど数は増えて、質は下がる

1日ごとに、傷あり精子が増える

精子は、ため込むほど数は増えますが、質はゆっくり下がります。精子の設計図であるDNAに傷が入った「傷あり精子」が、日を追うごとに増えていくんです。ここで、ため込み派の顔が曇る数字を1つ。禁欲が1日延びるごとに、傷あり精子の割合は約0.65ポイント増えていました[3]。

10日ため込めば、約6.5ポイントの上乗せです。精子は毎日つくられ、出番がなければ体に吸収されて入れ替わっていきます。サウナで禁欲日数を誇っていた男は、実は在庫の古さを誇っていたことになります。数が多いことと、元気な精子が多いことは、別の話だと覚えておいてください。

妊活中なら、ため込まない選択も

妊活中の男性ほど、「本番に向けてためておこう」と考えがちです。(ちなみに、「ためれば濃くなる」は半分だけ正解で、濃くなるのは数のほうです。)実際は、間隔が短いほうが、精子の動きやDNAの傷は良い方向に出ていました。量は少し減っても元気な精子が残りやすいので、ため込みすぎない選択も考えてみてください。

妊活をしていない男性なら、回数で精子が悪くなる心配はほぼいりません。オナニーそのものが体に悪いという根拠も、今のところ見つかっていません[4]。私が気になるのは、回数より「やめたいのに、やめられない」と感じる時のほうです。その線引きは、日数とはまったく別のところにあります。

「やりすぎ」の境目は、回数ではなく止められるかどうか

男性の約10人に1人が悩んでいる

「やりすぎ」の境目は、回数ではなく、自分で止められるかどうかです。医学では、止めたくても止められない状態を「強迫的性行動症」と呼びます[7]。その判断で見るのは回数ではなく、本人の苦しさと生活への支障です。

性的な衝動を抑えにくく、強い苦しさや支障を感じていた男性は、約10人に1人でした[5]。職場に男性が10人いれば、1人は同じ悩みを抱えている計算です。(ちなみに、この苦しさを測る質問には、「性の行動でお金に困ったか」まで入っています。)思っていたより、ずっと身近な数字でした。

え、毎日していたら、もうその1人?いえ、毎日でも本人が困っていなければ、この線には入りません。自分だけがおかしいと抱え込まず、困り具合のほうに目を向けてください。

我慢しすぎも、自信を削る

禁欲したい気持ちが強い男性ほど、実際の困りごとより「オナニーは体に悪い」という思い込みが強く出ていました[4]。根拠の薄い我慢を自分に課すと、破った日に自己嫌悪だけが残ります。この話、書いていて耳が痛い男は私だけではないはずです。私の見立てでは、この自己嫌悪のほうが、回数よりずっと自信を削ります。

パートナーがいる男性なら、回数をひとりで管理するより、「最近どう?」と話せる関係のほうが夜の安心につながります。では、今日から何を変えればいいのか。答えは、拍子抜けするくらい小さな1つです。

今日から変えるのは、日数を数える習慣だけ

回数が多い男性ほど、少ない病気がある

回数を増やしても、体が悪くなる心配はまずありません。むしろ、回数が多い男性のほうが少なかった病気があります。比べたのは、前立腺(男性だけにある、精液の一部をつくる臓器)のがんです。射精の回数が多い男性は、少ない男性より、診断される割合が約2割少なかったんです[6]。

ここでいう「多い」は、ほぼ週5回のペースです。……と真面目に書いた瞬間、頭の中で月の回数を逆算する男性の顔が浮かびます。差がはっきり出たのは、進行のゆるやかなタイプの前立腺がんでした。若い頃の回数で見ても40代の回数で見ても傾向は同じなので、「減らさなくていい」くらいに受け止めれば十分です。

数えるのを、今夜でやめる

今日から変えられるのは、禁欲の日数を数えるのをやめることです。私なら、まずスマホのカレンダーに付けた禁欲の印を消します。代わりに見るのは、「楽しめているか」と「止めたい時に止められるか」の2つです。妊活中の男性では、間隔をパートナーと話して決めると、ひとりで悩む時間が減ります。

(ちなみに、数えるのをやめた途端に気が楽になるのも、男の単純なところです。)回数が急に増えて生活に響く時や、苦しさが続く時は、泌尿器科や心の専門家に相談するのも選択肢の1つです。最後に、冒頭の噂にひと言で答えておきます。

結論:禁欲は、自慢する日数ではない

サウナで禁欲日数を自慢し合うのは、男の憎めない幼さです。長い禁欲で魅力や精子が良くなる根拠は乏しく、精子の質はため込まないほうが良い傾向でした。日数より、楽しめて止められるかを見てください。この記事は医師の診断に代わるものではありません。自分の体と向き合うきっかけにしてください。