性欲がない男性は意外と多い?テストテロンと性欲の関係
- 「前ほど、そういう気持ちにならない」。パートナーに申し訳なく感じながら、誰にも言えずに自分を責めている方もいますよね。実は性欲の低下を経験する男性は珍しくなく、テストステロン(男性ホルモンの一種)の低下や疲れ、心の状態が関わっています。
この記事では、性欲が落ちる仕組みと原因を体と心の両面から、研究データをもとに解説します。なお本記事は情報提供を目的としており、医師の診断に代わるものではありません。個別の症状についてのご相談には応じられないため、あらかじめご了承ください。
性欲の低下は、テストステロンの変化を映すサインのひとつ

性欲の低下は、テストステロンが減ったときに現れやすい代表的なサインのひとつです。欧州の40〜79歳の男性3,369人を調べた研究では、テストステロンの低さと関連した症状は32項目中9つでした。なかでも結びつきが強かったのは、朝の勃起の減少や性的な関心の低下、ED(勃起障害)という性に関する3つの症状です。
テストステロンは年齢とともに少しずつ減り、その幅は1年に1〜2%程度とされています。睡眠にも左右され、睡眠を1日5時間に制限した若い男性では1週間で10〜15%下がりました。ただしこの実験は少人数の若い男性が対象で、すべての人に当てはまるとは限りません。
性欲が落ちたからといって、すぐにホルモンの病気と決まるわけではありません。同じ欧州の研究で、加齢による男性ホルモン低下症(LOH症候群)の基準を満たした男性は約2%でした。性欲の波にはホルモン以外の要因も重なっており、ひとつの数値だけで決まるものではありません。
性欲の低下に悩む男性は、年代を問わず少なくない
性欲の低下は、特定の年代だけの悩みではありません。欧州3か国で、18〜75歳の男性5,255人を調べた研究があります。そのうち14.4%が、2か月以上続く性欲の低下を経験していました。およそ7人に1人の割合で、同じ悩みを抱える男性は身近にもいると考えられます。
日本でも、性への関心は年齢とともに下がる傾向がみられます。日本性機能学会の全国調査では、性的な欲求を感じる頻度は年齢を重ねるほど少なくなっていました。さらに20〜24歳の若い世代でも、性欲や満足度が想定より低いことが報告されています。年齢による変化は自然な流れのひとつで、若い世代にも同じ悩みを持つ人がいます。
ただし、これらの調査はいずれもインターネットでの回答をもとにしています。ノルウェーでは性の悩みを持つ人向けに参加を募ったため、数字が高めに出た可能性も指摘されています。数字をそのまま自分に当てはめるのではなく、同じ悩みを持つ人が各世代にいる目安として受け止めてください。
体と心、そして関係性。性欲の低下には複数の原因が重なる
性欲の低下には、体と心の両方の要因が重なっています。体の面では肥満や全身の健康状態がテストステロンの低下と結びつき、中高年ほどその影響が表れやすくなります。睡眠不足もテストステロンを下げる要因のひとつで、仕事が忙しい30〜40代にも無関係ではありません。
心の面では、うつや疲れ、仕事のストレスが性欲の低下と関連しています。勃起に自信が持てない男性は、性欲の低下を訴える割合が約5倍でした。一度うまくいかなかった経験が、性への関心そのものを遠ざけることもあります。こうした心の負担は、年齢を問わず誰にでも起こりうるものです。
パートナーとの関係も、性欲を左右する要因のひとつです。同じ研究では、長く続く関係にある男性で性欲の低下が1.5倍起こりやすくなっていました。相手に魅力を感じにくい場合は、2.7倍でした。これは誰かの責任ではなく関係の中で自然に起こりうる変化で、話し合うことが見直しのきっかけになります。
体重と眠り、対話の見直しが、性欲を支える助けになる
生活習慣の見直しは、テストステロンを支える助けになることがあります。24の研究を統合した分析では、肥満の男性が減量するとテストステロン値が上がり、減量幅が大きいほど上昇も大きくなりました。食事による減量でも上昇がみられた一方で、食事療法を比べた質の高い試験はまだ少ないとされています。
睡眠の確保も、無理なく始められる見直しのひとつです。寝る時間を少し早めることや、パートナーに「最近疲れている」と言葉で伝えることから試してみてください。性について話し合えている人ほど性機能が良好な傾向も、48の研究の統合分析で報告されています。
なお、ここで紹介した結果がすべての人に同じように出るとは限りません。国内では2022年に、LOH症候群の診療の手引きが改訂されました。診断では、総テストステロン250ng/dL未満などが目安とされています。気分の落ち込みや疲れが長く続く場合は、泌尿器科などの専門家への相談もひとつの選択肢です。
結論
性欲の低下はテストステロンの変化や疲れ、関係性などが重なって起こるもので、自分を責める必要はありません。まずは眠りと体重、パートナーとの対話を見直すことから始めてみてください。本記事は医師の診断に代わるものではなく、個別のご相談には応じられません。自分の体と向き合うきっかけにしてください。